先月で休刊になるまで、編集者として制作に携わっていた『ラグビー・コーチウィークリー日本語版』。バックナンバーは引き続き販売されているので、過去の記事から、日々の練習のヒントになりそうなことをここで書いていきたいと思います。
今日は記念すべき1号から。この号ではタックル関連の記事が多いのですが、印象に残っているのが「タックルは靴下を持って」という記事です。使い古しの靴下を両手に持ってタックルの練習をすると、肩で相手に当たっていくという本質的なところのスキルを高めることにつながる、という内容です。
靴下を持っていると、相手を両腕でバインドすることはできても、ジャージをつかんだりすることができない。したがって、相手をしっかりトラッキングして、肩できちんと当たっていかないと相手を止めることができない、というところがポイント。
子どもの年代など、タックルを怖がって腰が引けるような姿勢で、両手で相手のジャージをつかんでなんとか相手を止めるというケースがあると思いますが、こうした悪いクセを直すのにも靴下は有効かもしれません。
本家英語版の発行人のダン・コットレルさんはいろいろなアイデアを提案する人で、最初はテニスボールを持たせていたけれども、散らばったボールを回収するなど手間がかかるので、靴下やビブスを丸めて使うのがいいと書いています。
両手でつかむ動きが制限できればいいので、他にもいろいろ応用できると思います。
タッチタックルをタグベルトで
コットレルさんはまた、ラグビー・コーチウィークリー31号で、タッチタックルをタグベルトで行うようにしたらどうか、と問題提起。どういうことかというと──。
『タッチラグビーのとき、タックラーをボールキャリアに近づけるため、どうやったら「深い」タッチにできるのか(タックラーの両手をもっと奥まで出させるのか)と、悩んでいた。そこで、タックラーがタグベルトを持ったままタックルすれば、ボールキャリアをベルトでタッチしなければならなくなる、と考えたのだ』
タッチタックルの欠点は、通常のタックルに比べて、相手に近づいて踏み込むという動作がおそろかになるところ。そこを補うために、ディフェンダーは写真のようにタグベルトを持って、ベルトの中央部で「タッチ」することでタックルとしたらどうかというアイデアだ。
実際に複数の読者のチームで試してみてもらったところ、このユニークなタックルの意義を理解できるプレーヤーであれば、楽しく盛り上がるタグラグビーができたとおおむね好評のようでした。
記事では、実際に6対6くらいで行うタグラグビーのやり方がのっているのですが、そこでは、一定の回数のタックルでターンオーバー。その際にはディフェンダーが手放したベルトを、アタッカーだったチームが即座に拾わなければならないという「カオス(混乱)」を楽しむルールになっているのですが、工夫しだいではいろいろなルール設定が考えられそうです。