コーチングを「受ける側」の事情とコーチングを「する側」の事情

日頃からラグビーのコーチングについて、いろいろ考えています。といっても、自分はコーチではないので、あくまで編集者の観点から、ということになりますが、たとえばタイトルのようなことを漠然と考えたりしているわけです。

過日、編集・制作を担当させていただいた、ジャパン・エリート・キッキング公式プラクティスブック『勝つためのゴールキック』(君島良夫著、Japan Elite Kicking発行、電子書籍)について、企画がスタートした当初、これはラグビーのキック、それもゴールキックに特化した希少な本になる、と興奮を抑えられませんでした。他に類書が見当たらなかったからです(海外をみても、調べた限りでは類書にあたるものは見つかりませんでした。アメリカンフットボールに関しては、アメリカで出版されているものを数点、確認できましたが)。

ではなぜ、このような本がなかったのか。それは需要があまり見込めないからに他なりません。中学・高校・大学のラグビー部の監督・コーチの皆さんが、チームの強化を進めていくにあたって、ゴールキックのコーチングにどれだけの時間を割こうと考えるか‥‥チームの競技レベルにもよりますが、多くのチームでそれは選手任せになっているのが実情でしょう。

パス、タックル、フィットネス、連係プレー‥‥練習メニューは基本的にチーム全員が対象です。しかしゴールキックとなると、チーム内で対象となるのはせいぜい数名。そこにはなかなかコーチングのリソースを割くことができない事情があるわけです。

コーチングを「受ける側」の選択肢は多いにこしたことはない

しかしプレーヤーの立場からはどうでしょう。ワールドカップやトップリーグ(2022年からはリーグワン)の試合を観ても明らかなように、ゴールキックの2点・ペナルティゴールの3点は重要な得点源です。トライゼロ、キックのみの得点で勝利、ということも珍しくありません。

スタンドオフやフルバックのプレーヤーで、キッカーとしてもプレーしたいという立場からは、ゴールキックのテクニック/スキルを身につけて個人のパフォーマンスを高めたいという欲求はごく自然です。そのようなプレーヤーからみたら、キックのテクニック/スキルは、とても大切なものになります。そこに時間を割くだけの理由も意欲もあるのに対し、その求めにチームのコーチ陣が応じられないのであれば(前述の通り無理もないのですが)、『勝つためのゴールキック』のような本は、貴重な情報源となります。

つまりキッキングに関しては、コーチングを「受ける側」と「する側」の事情にギャップがあるわけです。そこを埋めるのが、Japan Elite Kickingのようなサービス(キックのコーチングを提供)であり、『勝つためのゴールキック』のような書籍といえるのだと思います。

最後は半分宣伝になってしまいますが、『勝つためのゴールキック』については、正規販売代理店としてwith Rugbyストアでも好評発売中。ご購入はこちらのページからどうぞ!

タイトルとURLをコピーしました