高校野球界で行われた壮大な実験

コーチング

このNumber Webの記事については26日にリツイートして紹介していますが、大切なことだと思うのでこのブログでも書いておくことにします。

■自粛で練習が減ったら球速アップ? この夏、高校野球で起きている事。
https://number.bunshun.jp/articles/-/844393

その前にまず、夏の甲子園大会が中止になったことについては、この大会を目標に努力してこられた全国の野球部の関係者・選手の皆さんに心よりご同情申し上げます。

さて、記事では、新型コロナウイルスの影響による数カ月の活動休止期間を経て、高校野球の現場に生じているさまざまな変化について書かれているのですが、私が最も注目したのは、以下の部分です。

部活動自粛などで練習時間が激減していることについても、実は意外な副産物があるという話を耳にするようになった。高校野球の指導者やトレーナーから聞こえてきたのは、こんな声だ。

・生徒たちの体が大きくなっている。
・投手の球速が伸びている
・飛距離が伸びた

つまり、はからずも活動休止期間が、いわゆるシーズンオフのように機能して、いい休養期間が得られた、ということではないでしょうか。昔からいわれる、いわゆる「サボりバネ」のような現象といっていいのかもしれません。

いやいや、それらの選手の意識が高く、活動休止期間中も個人でトレーニングを積んだ結果なのでは、という見方もあるでしょう。しかし、投手の球速が上がるとか、バッティングの飛距離が伸びるといったことに関して、ふだんのチームとしての練習よりも選手の自主トレーニングのほうが効果的だった、とは考えにくい。やはり活動休止の結果として得られた「休養」の要素が大きかったのではないでしょうか。

トレーニングを効率良く進めるには、「トレーニング」「栄養」「休養」の3大要素とそのバランスが重要とされます。上記の記事でいう「実は意外な副産物があるという話」を素直に受け取れば、これまではやはりオーバートレーニングの傾向が強かったのかもしれないと考えるのが自然です。

だからといって、これからは練習を休む日を増やすべきとか、シーズンオフがなければならない、といった結論を急ぐべきではないとも思います。活動休止が長ければ、たとえば守備の連係プレーなどの完成度は低くならざるをえない、といったこともあるでしょう。

ただ今回は事実として(野球に限りませんが)全国的にスポーツの活動休止期間があった。壮大な実験が、結果的に行われたという認識を自分はもっています。スポーツ医学とかスポーツ社会学などの研究者の方にとっては、オーバートレーニングとかオーバーユースとか、そのへんの絶好の研究対象がどんと目の前にある状態なのではないでしょうか。そういった科学的な調査結果も、期待できるのではないか。そんなことを思いました。

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